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ネットワーク時代になって、都市部と田舎との格差が減ったかといえば、むしろ逆なんだと思う。インターネットで伝送可能な、ある程度の基礎知識はネットで共有することができるようになったけれど、そういうものが「秘伝」から「前提」へと移り変わって、今度はその先、知識を実際に運用するためのやりかただとか、患者さんにある治療を行うときに注意すべきことだとか、実際にそれをやっている人から学ばないと分からない、暗黙知の価値は、かえって高まった。
(中略)
インターネットに乗せられるものから対価を得るのは、やっぱり難しい。価値はコピーできないもの、電送できないものに生まれて、電送できないものは、やっぱり「手渡し」になってしまうから、人と人との距離が近いことに、恐らくは昔以上に意味が出てきた。そこに集まれない人にだって、ネットで電送できる知識には公平にアクセスできるけれど、そういうものから価値を得るのは難しいから、対価を得られる、実体としての価値を持った何かからは、そこにいることができない人は、取り残されてしまう。
じゃあそれに対抗するにはどうすればいいかといえば、あらゆる知識をネットに乗せられるように、暗黙知として伝えられた何かを言語化すること、再現可能なメディアとして伝えることで、都市部の持つ「そこにいられる」という価値を、少しでも減らせるはずなんだけれど、こういうのは難しい。
流れはそうそう変わることはないのだろうと思う。自分自身がコンテンツ、という人ならば話は別なんだろうけれど、都市部に住むことのメリットというのは、ネット時代になって、高まりこそすれ、減ることはないのだろうと思う。